〈青森県立美術館〉に住む、森の精。
三内丸山遺跡に隣接する〈青森県立美術館〉は、発掘現場のトレンチ(壕)をイメージしたという、幾何学的な凹凸の設計が印象的な美術館だ。
美術館の南側トレンチにある「八角堂」は、弘前市出身の美術家・奈良美智のデザインに基づき造られた、宗教的な建造物を思わせる建物。八角形に積まれた煉瓦が、デコレーションケーキのように2段に重ねられている。その“デコレーションケーキ”のてっぺんから、にょきりと生えたツノのようなものが……。
これは、奈良美智作の《Miss Forest / 森の子》。「八角堂」の内部にある、高さ約6m以上の乳白色のブロンズ像で、天に向かって伸びる一本の木のような頭部を持つ。
開館から7年間にわたり、「八角堂」では奈良美智による皿型の絵《Shallow Puddles Ⅰ/浅い水たまり Ⅰ》が展示されてきたが、美術館の開館10周年を記念して2016年に設置されたのが本作だ。「八角堂」を取り巻く環境とともに語り出す、森の精のような存在となっている。
奈良は「森の子の周りを歩いてみて、大地や空の波長を感じてほしい。うまく波長が合えば、森の子と交信できるかもしれない」とコメントしている。
青森県立美術館
住所:青森県青森市安田近野185
電話番号:017-783-3000
開館時間:9時30分~17時(入館は16時30分まで)
休館日:毎月第2、4月曜日(この日が休日の場合、翌日)、年末年始
www.aomori-museum.jp/ja/